
螺鈿紫檀五弦琵琶 駱駝に乗る吟遊詩人
五弦琵琶に描かれた四弦琵琶
正倉院宝物の螺鈿紫檀五弦琵琶 (らでんしたんごげんのびわ)。 撥(ばち)のガード部分には「ラクダに乗った吟遊詩人」が描かれている。
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5本弦の琵琶に描かれているのだけれど、吟遊詩人が抱えているその琵琶は4本弦なのがおもしろい。
糸巻きの数、そして、糸倉が折れ曲がっていることや右手に持っている撥(ばち)の形から推測するに、これは現在でも雅楽で使われている日本の「楽琵琶」のように思える。
ただ、糸倉が後方に曲がっているのではなく、どう見ても前方に曲がっているように見えてしまうのだけれども、これは描画センスの違いでこんな風になっているのだろう。
フタコブラクダは中国の北部・モンゴルなど・・・ゴビ砂漠あたりに棲んでいる。そのフタコブラクダに一重まぶたのアジア人らしきミュージシャンが日本ぽい四弦琵琶を奏でている。
この絵が描かれている本体は五弦琵琶だ。一説では、ネックが曲がっていない五弦琵琶はインドあたりから中国へ伝来したという。
そして、ネックが曲がった四弦琵琶はペルシャあたりから中国に渡ってきたらしい。
ペルシャ、インド、中国、ゴビ砂漠、ラクダ、吟遊詩人、4弦、5弦・・・なんとも複雑怪奇。私の頭では整理できそうにない。
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私家版 楽器事典 / 楽器図鑑 gakki jiten
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