楽器の本
テニスの道具の名ののような、めずらしい楽器を紹介する。
今頃こんな古い、もはや死滅した楽器などと思われるかもしれないが、これなどを見ると、ヨーロッパの人は、つねに何か新しいものを創作しないではいられないという、意欲がうかがわれようと思ったからである。
このラケットは16世紀ごろ現れて、18世紀には消えてしまったが、どこでだれが設計したしたものかいっさい不明である。
堅木で作った円筒の中に16本の管がつながりあって、吹き口はファゴットのような真鍮の曲管が差し込まれ、それにダブルリードがつけられている。
管の末端は、筒の中央から上にぬけ出していて、これらの管をみんなつなげれば2メートル以上の長い管となるのだ。
筒の外には、9〜11個ほどの小さな指穴があり、これを手のひらや、指の関節で全部ふさぐと、管の全長の低音が出るようになっており、音域は4つの切り替え装置によって3オクターブ以上を出すことができた。
【図解】世界楽器大事典より引用
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