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コンデルバス に コントラバス
遠い昔、1970年前後。私は高校生だった。私のバンドではコントラバスを使っていた(コントラバスとかいう高貴な名称は使わないでウッドベース呼んでいたけど)。 こんな高価なものを買う金なんぞないもんだから、地元 T高校のマンドリン部のウッドベースを事あるごとに借りていた。 メンバーのひとりがマンドリン部の部長でもあったもんだから、2台あるうちの1台を微妙に内緒で借用していたのですわ。

当時、車の免許はないし、当然自家用車とかいう運搬具も持ちあわせているはずがない。コンサートなんかをやるときにゃバスで移動だ。 ウッドベースは人間ひとり分より少々デカイ。 デカくても私たちメンバーは乗客の迷惑をかえりみず、ギターやバンジョーやウッドベースを乗合バスに持ち込んだ。
混んでるバスにコントラバス 混んでるバスに コントラバスってな具合。
その頃は、運転手の他に車掌さんとかいうおねえさんが乗車口にいた時代。車掌のおねえさんからは、若者の迷惑この上ない行動をとがめられたこともないし、追加料金請求もなかった。 なんか、ほら、古きよき時代というやつですかな。


コントラバスといえば もうひとつ
ブリッジが折れた事件を思いだした

遠い昔、1970年前後。私は高校生だった。私のバンドでコントラバスを使っていた・・・という出だしは同じ。
学校の舞台を借りて練習。一休みの合間には「どこそこのタコ焼はウマい」とか「マンドリンを女の子が使ったらマンコリンだ」とか、くだらん話をしていた(かもしれない)。
その時、事件が起こった。
コントラバスがひっくり返ってブリッジが折れた
学校からこっそりと(?)借りて来ていたウッドベースが、舞台の上からゆっくりとヘッドを支点にして弧を描くようにビヨーンと回転し始めた。 「あ、ああ・・ああぁぁぁ」とか、ひ弱な声がもれた。私は、スローモーションビデオのごとく倒れていく茶色の筐体を見ていた。ちょうど正面を向いた状態になりブリッジが床にガツンと当たった。
ブリッジの足の部分が折れちゃった。
ウッドベースは横腹を下にして置いておくと安定するのでいつもそうしてる。ネックの部分が舞台の端っこから大部分はみ出していたのだろうけど、なぜ回り出したのかは不明(もしくは思い出せない)。 ニュートンがこれを見ていたら、新しい物理法則を発見していただろう。が、そこにアイザック・ニュートンはいるはずもなく「新万有引力」は発表されないままとなった。
ともかく、得体の知れぬ超物理現象によってウッドベースは大回転した。落ちた。そして、ブリッジが折れちゃいました。台座を失った4本の弦はブラブラ状態。
壊れたのはブリッジだけ。もし、指板が折れていたらそれこそ大変。不幸中の幸いというところか。
折れてしまったブリッジの脚
そのころの事をもう少し思い出してみよう・・・・うん、思い出した。
いくらチャランポランな若造であっても、借り物を壊れたままにしておくわけにわいかない。というより、練習ができないのは困るし、コンサートで使えない事のほうが重要だったのかもね。そこで、神戸の元町にある楽器屋さんでブリッジを買い求めた。たしか、YAMAHAの大きな楽器店だった・・・。
でもね、買い求めたのはいいけれど背が高い。おそらく、どんな楽器本体にでも合うように背を高くしてあって、各自加工して使うベし、となっているからなのであろう。 早速加工・・・・堅い。ブリッジは思いのほか堅い木でできている。テッペンの丸い部分を削る必要があるのけれどなかなか削れない。
そこで、近くの建具屋さんにお願いすることとなる。近くも近く、我が家から100mほどのところに窓枠や障子をつくる建具屋があった。 壊れたブリッジを見本に、鉛筆で削る位置まで線を書いて職人のおっちゃんに依頼。 「よっしゃ、よっしゃ」となかなか親切。施工料無料。
で、無事に、ウッドベースは修復されたというお話し。持ち主である高校にはナイショだ。ずっとナイショ。
(2012年11月)

まだ高校生だったころの写真 「なかよし・おのころ・たこやきバンド」
まだ高校生だったころの写真
写真のコメントに「赤い鳥と一緒に」とか書いてあった。でも、ただの前座。

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