楽器一覧
銅鑼 どら/Tamtam

晴れた空 そよぐ風
  港 出船の ドラの音(ね) 愉し
  別れテープを 笑顔で切れば
  のぞみはてない 遥かな潮路
  ああ 憧れの ハワイ航路
昭和23年(1948年)の流行歌である。
銅鑼

「ドラの音 たのし」とあるのだけれど、さてさて、この銅鑼の音、奇々怪々で とても複雑な音が出る。
「ジャーン」は擬声語として一般的としても、実際にはこんな単純な音ではない。 「ギョヮジョャ〜ン」「ギョジュワ〜ン」とか、小さな銅鑼なら「キュエーン・キョエーン」とでも表現しようか。

よく似た楽器で鉦(かね)があるが鳴り方が違う。鉦は厚みがあるのでわりと単純で「チン!」という短めの音。 銅鑼は薄い金属でできており、板全体が歪んで基音に加えて複雑怪奇な高調波の音が生まれて轟き渡り余韻が長い。叩いた瞬間より少し後のほうが大きな音になったりする。

港出船の合図に鳴らすのは広く響き渡る銅鑼が最適であって、形は似ていても鉦の出番ではなさそうだ。

右のイラストはタイの銅鑼(コーン )。

中央にハンマーで叩き出した「出っ張り(こぶ)」があって、その周りにも8個の小さな出っ張りがある。
銅鑼:タイのコーン
銅鑼:韓国のチン
左のイラストは韓国の銅鑼(チン)。

手に持つ小型の銅鑼(ケンガリ)と共に韓国を代表する銅鑼。

銅鑼をゴングと呼ぶことがある。間違いではないが正しくはない。
ゴングは金属製打楽器の幅広い名称であり、ゴングの仲間に 銅鑼(タムタム) がある とするのが妥当だろう。ゴングの名称を使う場合は 英語で チャウ・ゴング (Chau gongs) という呼び方もある。
ゴングの仲間には、音程が判別できるものと音程が判別できないものがあり、銅鑼は音程が無く「ギョヮジョャ〜ン」である。

銅鑼は中国起源の打楽器であり、「鑼」一文字でこの楽器を表す。宝來 や K.M.K は中国武漢のメーカー。シンバルメーカーの Zildjian や Sabian なども日本市場で販売されている。


私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
gakki jiten