「ディー・ディー・チャンドラー」と「ベイビー・ドッズ」
ドラムセットは打楽器の寄せ集めであるが、特徴的な楽器が二つある。
バスドラムとハイハットだ。
バスドラムは、ペダル付きの大太鼓。
1900年頃、打楽器奏者のディー・ディー・チャンドラーが自分の右足で大太鼓を打ち鳴らすペダルを考え出し
小太鼓と大太鼓を同時に演奏したという。
ついでにシンバルも打ち鳴らせという具合でドラマーは椅子にすわって演奏するようになった。この頃はまだハイハットは無かった。
ハイハットもペダル付きのシンバル。
ベイビードッズ(Baby Dodds)というジャズドラマーが、演奏中に左足を規則正しく動かしていて、
これはもったいないということで、足ふみシンバル、つまりハイハットが開発されたのだと。
かようにして、ドラマーはチンパンジーのごとく両手両足を駆使してリズムを刻むこととなった。
ただし、リズムは両手両足にあるのではなく体の中心(もっと言えば脳みそから尾てい骨あたりの神経系)にあって、
足と手はそのリズム情報をアウトプットしているハードウェアである。
リズム感というのはハードウェアではなく、ソフトウェアなのよ。
ドラムセットの紹介でこんな表現があった。
「ドラムセットに組み込まれる打楽器類の種類や数は、奏者の好み・音楽的方向性・経済的事情等により多種多様である」
と。
なるほど、ドラムセットが多種多様である理由として、最後の「経済的事情等」というのはちょと笑ってしまうが、本当切実ではある。
とはいえ、スネアドラム、タムタム、フロアタム、バスドラム、ハイハット、ライドシンバル・・・
これらは最低限必要かな。
好みでタムタムを複数設置すればいいし、音楽方向性でシンバルを並び立てればいいし、経済的にゆるせるなら
アゴゴベル、カウベル、ウッドブロック、ウィンドチャイム、テンプルブロック、銅鑼を加えてもいい。
かつ、バスドラムを2つにしてもよい。
ドラムス/ドラムセット
バスドラム
いわゆる大太鼓。「ベースドラム」「ベードラ」「バスドラ」と呼ぶ場合もある。他にキックと呼ぶこともある。
右利きの場合、奏者の右足側の床に横倒しに設置し、ペダルを踏んで演奏する。
フロアタム
床に直接置くのでフロアタム」と呼ばれる。
右利きの場合、奏者の右側に設置するのが一般的。大口径のタムで代用する場合もある。
スネアドラム
いわゆる小太鼓。奏者の目の前、膝の高さに専用のスタンドで設置する。
「サイドドラム」と呼ぶ場合もある。
スネアサイド(スネアドラムの裏面のヘッド)にスネアと呼ばれるスチールないしブラスなどの金属製の響線が装着されている事が最大の特徴。
タムタム
トムトムともいわれるが、同じく「トムトム」と呼ばれる打楽器があるのでドラムスの場合は「タムタム」と呼ぶのが普通。
複数設置する場合は左から右へ小さい順に並べるのが一般的。タムだけで10個以上を設置したセットを組む奏者もいる。
ハイハットシンバル
右利きの場合、奏者の左足側、スネアドラムの直近に専用のスタンドで設置する。
ワイヤーを使って奏者の右側や自由な位置に設置するリモートハットもある。
シンバル
設置にはスタンドを用いる。ライドシンバル(トップシンバル)やクラッシュシンバル、そのほかチャイナ、スプラッシュ、ベル、ゴング、などがある
知りたい楽器の名前
ドラムセット/ドラムス
(私家版事典/世界の楽器)