ナッカーラ と ティンパニ
16世紀ごろにオスマントルコ軍が使っていた球を半分にしたような形をした太鼓。
ラクダや馬の背中に載せて叩いた。
ナッカーラ、ネーカー、ケトルドラムとか呼ばれる。現在のティンパニはナッカーラが元になってできた楽器だ。
ナッカーラはティンパニの祖先であると、あれこれ書籍に書かれている。確かにそうなんだろうけど楽団の中でその役割はちょっと違う。
古くトルコの軍楽隊である
メヘテルハーネ
では ダウルやキョスいう大太鼓が強拍を打ち(表打ち)、ナッカーラはアフタービート(裏打ち)だ。
小柄なナッカーラは「ウン タッ・ウン タッ」というリズムがあったとすれば「タッ」の部分を強調して打つ。つまり、現在でいうサイドドラム(スネアドラム)と同じビートを打つ役割ということ。
ティンパニは「ウン」の部分を打つわけで、ナッカーラがティンパニの祖先だったとしても、リズムを刻む役割は表と裏で逆になってる。
当時のナッカーラがサイドドラムの役割を担っているのであれば、2つの太鼓の音程を4度とか5度にチューニングする必要があったのだろうか。4度・5度調律は、ピッチのはっきりとした釜形太鼓としてナッカーラを紹介する文献ではよく書かれている内容ではある。
たしかにヨーロッパのティンパニはベース音を強調するため4度とか5度に音程調整し、迫力のベース音で楽曲を盛り上げるのに無くてはならない存在だけど、アフタービートを担うナッカーラは音程重視はあまり必要なさそうだ。
むしろ大型のキョスが迫力のベース音で「ド」と「ソ」を強調し楽曲を安定させていたのではなかったか。
そんな気がする。
(楽器大図鑑/がっきだいずかん)
一対の釜(かま)形太鼓の一種。通常、木製または金属製の胴体に革を張り、革ひもで締め付けてある。
一方が高音用、もう一方が低音用である。2本のバチを使用し、細かく複雑なリズムを奏するのに特色がある。宗教音楽や軍楽に用いられる。
同類の楽器はイスラム文化圏を中心に広く分布しており、地域によって名称や楽器の形態が異なる。
たとえばインドのラージャスターン地方のナッカーラーnaqqr、トルコの軍楽で使われるナカラゼンnakarazenなど。
また13世紀には、ネーカーnaker、ナケールnacairesという名称でヨーロッパに伝わり、ティンパニの原型となった。
Yahoo百科事典より引用