ディジュリドゥは、オーストラリア大陸の先住民アボリジニ(アボリジナル)の管楽器。シロアリが食べて筒状になったユーカリの木から作られている。
ディジュリドゥは白人が付けた名前。
アボリジニというのはオーストラリア原住民の総称なので、広い土地にはたくさんの民族が暮らしていて、この楽器の名前も部族によって呼び方が違う(イダキ、イラカ、マコなど)。
金管楽器か?
ディジュリドゥは「木で出来ているけど金管楽器」と紹介されていることが多い。たしかに言わんとすることは分かる。金属でできていれば金管楽器というわけではなく、アルプホルンやホラガイも金管楽器として分類される。
奏者のクチビルを振動させて音を出す管楽器を(つまりラッパの類い)を金管楽器と分類することになっているからである。よって、金管楽器は材質に関係なく「ラッパの音」がするのであって、管の長さや倍音によって音程もちゃんと出る。
ディジュリドゥはラッパの音がしない(というかラッパの音を出さない)。奏者のクチビルを振動させるのではあるけれど、喉を鳴らしたり、舌を使ったりして「ディーディー ジュリジュリ ドゥードゥー」と響く。
これは、他の無数にある金管楽器とは違う。
ディジュリドゥは金管楽器ではない、と言おうとしているのではなく、他の金管楽器とは演奏方法が異なること、そして音階という概念がない(必要ない)こと。
金管楽器として分類するのは、それはそれでいいんだけれど、そもそも、音楽という概念が異なっている。私が、初めて聴いた時はシンセサイザーではないのかと思ったほど。
カンガルーやコアラやオポッサムは、ケモノの仲間で子供に哺乳する動物だけど哺乳類ではない。違う種類の有袋類であるということと・・・あまり関係はないか。
世界最古か?
「オーストラリア原住民は1000年以上も前からこの楽器を使っていた。世界最古の管楽器だといわれている」という記述をよく見かける。これはおかしい。
アジアには紀元前数千年前から管楽器があったというのに、たかが1000年前で世界最古なわけがない。
ただし、ディジュリドゥは1000年前ではなく、オドロクなかれ 2万年も前から使われていたという記述もあったりするので、実際のところはよく分からない。