ロマンチック ギター
ギターを調弦する女性
ロマンチックギターは1700年代後半から1800年前半にかけて流行したギター。
複弦で 5コース(10本の弦)のバロックギターを経て、現代と同じ単弦で 6本弦の楽器となった。
19世紀のヨーロッパ音楽を「ロマン派 Romantic music」と言うようで、そのあたりからロマンチックギターという名称で呼ばれるようになったのだろう。19世紀ギターとも呼ばれているようだ。
なので、甘美で美しい恋愛を奏でるギターという意味ではない。もちろんロマンチックで美しい恋愛を奏でることはできるだろうけど・・・。
上のイラストは1860年代に描かれた絵画*1を模写したもの。当時描かれた この楽器は、ロマンチックギターだと思われる。
もちろん、その当時はロマンチックギターなどという名称は存在しないはずで、ただギターとか呼んでいたのだろうけどね。
ギターをチューニングしている女性を描いたものだけど、その楽器はバロックギターの形状を残したまま弦は6本だ。
この頃は、絹糸を芯として細い金属を巻いた弦(いわゆる巻弦)が誕生していたり、フレットは指板上に固定されていたりする。また、サウンドホールの飾り*2は無くなっている。
描かれた年代や、これらの特徴から当時の新しいギター、つまりロマンチックギターを描いているとして間違いなさそうだ。
このギターは最先端の楽器ではあったのだけれど、スペインでは胴体を大きくしたギターが作られていた。スペインのギターは凄い実力をもって登場してきた。
ロマンチックギターは衰退し、スパニッシュギターにとって変わってしまったんだ。そして、スペインのギターはギターの完成形とでもいうべき姿を現在に残し、世界中で愛用されるようになった。
*1
このページのイラストは ベルギーの画家 バジル・デ・ルース Basile de Loose の絵画を参考に描いたもの。
絵画のタイトルは『Tuning the guitar』
*2
サウンドホールの飾り;
ルネッサンス、バロック期の弦楽器に採用されているサウンドホール(響孔)を飾る彫刻。リュートやバロックギターなどに見られる。
ロゼッタとかローズと呼ばれる。
私家版 楽器事典 / 楽器図鑑 IROMBOOK
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