楽器一覧(弦鳴楽器)
阮咸 ルアンシェン Ruanxian
ルアンシェン 阮咸 ruanxian
ルアンシェンは中国の楽器。
昔むかし、中国に竹林の七賢人(ちくりんのしちけんじん)という賢者の集まりがあり、楽器の達人もいた。その中のひとりが阮咸という名の男。 阮咸は、棹付弦楽器を得意としており、その楽器は賢者の名前をそのまま受け継いだ。
日本では阮咸を「げんかん」と読む。
中国では 阮 Ruan ひと文字で表すのが一般なようで、大小さまざまなサイズがある(下記)。

小阮 中阮 大阮
小阮 中阮 大阮
現在では、音域によって異なるサイズの阮咸が作られている。
小阮(xiaoruan)は、アルトにあたる楽器で全長は70cmほど。 中阮(zhongruan)は、テナーにあたる楽器で全長は88cmほど。 大阮(daruan)は、バスにあたる楽器で全長は112cmほど (楽器の作者によって形状デザインはそれぞれなので 全長寸法は目安です)。
さらに、上のイラストには記載していないが、もっと大きく低い音が出る 低音阮(diyinruan)があり、 高音部ではもっと高い音域のソプラノにあたる高音阮(gaoyinruan)もある。

正倉院に納められている阮咸
桑木 阮咸 くわのきのげんかん
桑木阮咸
(くわのきのげんかん)
螺鈿紫檀 阮咸 らでんしたんのげんかん
螺鈿紫檀阮咸
(らでんしたんのげんかん)
読売新聞に「世界でも正倉院に二つしか残っていない弦楽器・・・(2014/08/13)」と、紹介されていた。 阮咸(ルアンシェン)が世界に二つしかないはずはないので、古く奈良時代より伝わる阮咸としては「世界に二つしかない」という意味だろう。 上部イラストの 桑木阮咸、螺鈿紫檀阮咸 が、その二つである。
現在の阮咸は西洋平均律でフレットが打たれているが、この二つの阮咸はとびとびである。当時の特別なスケール(音律)で演奏されたのだろう。
いずれも、長さ約102cmで、ボディの直径は38cmほど。

しかしまあ、ボディ表面のデザインは目・鼻・口と人の顔に見える時がある。一旦そのように見えてしまうと、ちょっと滑稽で間抜け面の表情がどうしても離れなくなってしまう。


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私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
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