楽器の名前


楽器一覧(弦鳴楽器)
セタール Setar (Setaar)
セタール setar
セタールはペルシャ(現在のイラン)の伝統的な弦楽器。
setarの「se」は「3」、「tar」は「弦」の意味。つまり「3弦」という名の楽器(中国の「三絃」や日本の「三味線」と名付け方が同じだね)。その通り3本弦の楽器だったけれども、後に1本の弦が追加されて4弦になった。4本弦になってもそのままセタールの名前を使っている。
細長いネックにガットのフレットを巻きつけてある。 フレットの位置をよく見ると、いわゆる平均律のピッチで並んでいない。飛び飛びで間隔も微妙に違うので独自の音律になる。
弦は金属で張りが弱いので、独特のギンギンした音を伴い、音程はちょっと不安定でゆらぐ。 押さえた弦を横方向に押し上げて音程を変える・・・ギターでいうチョーキング・・を多用するので、さらにゆらぐ。 この「ゆらぎ」、言い換えれば不安定な音であるが、日本人にとってどこか異郷の地を連想さる音である。 怪しげであり、突然何かビックリするような事が起こりそうな予感をさせる・・そんな場面の映画音楽で使われそうな音でもある。

右のイラストは、1600年ごろウズベキスタンで描かれた絵の一部分を転写させていただいた。 楽人が酒の席でセタールを奏でている。

元画には弦が描写されていなかったので、このイラストにも弦を描いていない。 でも、ペグが3個描かれているので弦も3本だろう。当時の楽器として、文字とおり「セ・タール」である。

セタールを弾く楽人
セタールを弾く男性
1600年ごろの絵画(部分)を
イラストに描きなおしたもの
ちなみに、インドのシタールと名前が似ていて紛らわしいが別の楽器。アラブの楽器がインドに伝わり、インドで独自に作られたのがシタールだろう。


セタール setar / setaar
フレットはガットを巻きつけてあり位置を変えることもできる。 フレットの位置は、西洋音楽の平均律ではなく独自の間隔で並んでいる。

私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
gakki jiten