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月琴
ユエチン Yueqin
月琴は中国の弦楽器。
文字通り満月のように丸い胴。ネックは短い。
弦は4本であるが、単弦4本と複弦2コースの月琴がある。糸巻きは4本付いているけど弦は3本というのもある(糸巻きの一つは使っていない)。
地域によって違うのか、流派によって違うのかよく分からないのだけれど、古い写真を見ると複弦2コースが多い(このイラスト*
も複弦2コース)。
中国の楽器ではあるが、日本でも江戸時代から明治にかけて流行した。日本名は
げっきん。坂本龍馬の妻、お龍も月琴をたしなんだようである。
中国よりは清楽(しんがく)という一般市民の間で演奏される音楽も伝来し、この音楽に使う月琴は、このネックの短いこの楽器である。ただし、ネックの長い
阮咸(げんかん/ルアンシェン)
という楽器もあって、これを月琴と呼ぶこともあるので紛らわしい。
ベトナムには「弾月」の意味をもつ
ダン・グエット
があり、これも「ベトナムの月琴」とか言ったりするので、さらに紛らわしい。
私家版楽器事典では、ネックの短いのを月琴、ネックの長いのを阮咸としよう。
ちなみに、英語では
ムーンギター(moom guitar)
とか、
ムーンリュート(moon lute)
と表記されているのをよく見かける。
*
上のイラストは、明治時代に活躍した
勝山繁太郎(かつやましげたろう)の版画「六月 梅雨の曲」
より、描き写させていただいた(部分)。
描かれている月琴は、複弦2コースで、スティック状のピック(ピックとは呼ばないのだろうけど)を鉛筆のように持って弦を弾いている。
和服を着ていて日本人の描画であるが、元来、中国の楽器であることを、念のため。
糸巻きは4個だけど弦は3本
糸巻きは4個ついている。だけど弦の張り方はいろいろ。糸巻きと同じ4本の弦を張る方法。2本を組にして2コースで張る方法。そして、糸巻きを1個余らせて、弦は3本だけ張るという方法。
阮咸(ルアンシェン)
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ベトナムの月琴 ダン・グエット
私家版 楽器事典
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楽器図鑑 gakki jiten
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