マンドーラ
楽器の分類
マンドーラは、ヨーロッパの古楽器で 1740年代中ごろに多く製作されたが、あまり浸透することはなかった。さまざまな大きさや形状があり、一定ではないが、底の丸い比較的小型の弦楽器が使われていた。
リュートから派生したのがマンドーラで、さらにイタリアで改良されたものがマンドリン。
新しい楽器が作られ、マンドーラが使われた期間は短かかったこともあり、現在では知る人ぞ知るという過去の楽器になってしまった。
ちなみに、マンドリンをちょっと大きめの楽器で現在でも活躍しているマンドラ(mandola)があるが、マンドーラ(mandora)とは違う楽器であり綴も一文字違う。
ガリコン (gallichon) も ギターン(gittern) も マンドーラ (mandora) という名称で紹介されていることがある。
リュートか マンドーラか
アマーリング*の絵画をイラストに描き直した
この絵画のタイトルは『Lute player』となっている。
『リュート奏者』ということだけど、ちょっと違う。描かれている楽器はいわゆるリュートの形とはちょっと異なる。リュートは、ネックを備えた弦楽器の総称でもあるので、広い意味でこれはリュートではあるのだけれど。
さて、マンドーラ。マンドーラは、弦がいっぱい張りめぐらされているリュートから派生したようで、小型で扱いやすい楽器となってイタリアで登場した。
ヨーロッパでは、各地域で色んな楽器が作られたことだろう。楽器の標準規格というのは ある程度あったのだろうけど、便利で扱いやすい新楽器がどんどん作られたと想像できる。
そんな中でのひとつがマンドーラではなかったか。
新楽器の名前は、同様の名前を踏襲することもあったし、製作者が新しい名前を付けたりもした。ヨーロッパ全体では違う言語が混在しているので、その地域・民族での呼び名で名付けられることもあろう。
なので、リュートを参考に登場した楽器は、形状も弦の数も様々で あんな楽器こんな楽器と種類が多様化。これをリュートと呼ぶ地域もあり、マンドーラという呼び名を使ったりもした。
19世紀の描かれたアマーリングの楽器は、リュートでもありマンドーラでもある...ということ。とはいえ、私は、この絵に描かれているのはマンドーラと呼ぶ方が当たっていると思うのだけれど。
以上は、歴史には詳しくない私の考察ではあるのだけれど、まあ そんなに外れてはいないだろう。
*フリードリヒ・フォン・アマーリング(Friedrich von Amerling、1803年-1887年)は オーストリアの画家。宮廷での肖像画家として活躍し、ウィーンで最も尊敬される画家と云われている。
(wikipedia を参考に抜粋)