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楽器の分類
ザックス=ホルンボステル分類
クルト・ザックスとエーリッヒ・ホルンボステルによる分類で、大きくは、体鳴楽器・膜鳴楽器・弦鳴楽器・気鳴楽器・電鳴楽器の5つに分類される。さらに細かく区分されているがここでは大略だけを説明しよう。

体鳴楽器 体鳴楽器(たいめいがっき)
立体が震える。この世にあるほとんどの物は立体だ。これはもうたたけば音が出る。
歩けば足音がするし、手をたたけばパンと鳴る。石も木も金も音の源となる。

膜鳴楽器 膜鳴楽器(まくめいがっき)
平面が震える。平面といえば皮だろう。動物の皮を使った楽器。太鼓のたぐい。 皮は筒に張る。ギュギュっと強い力で張らなければいい音がしない。

弦鳴楽器 弦鳴楽器(げんめいがっき)
線が震える。羊の腸、絹糸などで作った線、金属の線。 つまり弦だ。強く引っ張れば高い音、長さや太さによっても音が変わる。

気鳴楽器 気鳴楽器(きめいがっき)
竹、牛の角、巻貝。筒に空気を吹き込むことによって音が出る。 筒の長さによって、また途中に穴を開けることによって音程が変わる。

電気楽器 電鳴楽器(でんめいがっき)
堅っくるしい表現ではあるが「電気増幅楽器」と「電気発音楽器」に分けることにしよう。
電気増幅楽器
体鳴・膜鳴・弦鳴・気鳴ともアコースチック(音響)だ。要するに電気を使わない。 でもこれをアンプで増幅して、その課程で音質を変えたりできる。例えばエレクトリックギターやエレクトリックベース。
電気発音楽器
根本となる音そのものを電気的に(電子的に)作り上げてしまう。そうそう、シンセサイザなんかが電気発音楽器。電気発振楽器とも言われる。

西洋音楽などで よく使われる分類
西洋音楽(オーケストラ)では、だいたい打楽器、弦楽器、管楽器 の3つに分類できる。オーケストラだけでなく他の楽器も打・弦・管で表現されることが多い。

打楽器 打楽器(だがっき)
たたいて音を出す。ザックス=ホルンボステル分類でいう「体鳴楽器」「膜鳴楽器」をひっくるめて打楽器だ。パーカッション。
打楽器の中でも音程があってメロディを出せるものを特に 旋律打楽器 といったりする。
ドラムス | ティンパニ | バンブードラム | トルン

弦楽器 弦楽器(げんがっき)
西洋音楽で弦楽器(ストリングス)というと、一般的にバイオリンなどの弓奏楽器(擦弦楽器)のことを指す。
はじいて音を出す、こすって音を出す、たたいて音を出すの違いで 撥弦楽器擦弦楽器打弦楽器 に分けられる。
バイオリン | チェロ
弦楽四重奏

管楽器 管楽器(かんがっき)
管に空気を送り込んで音を出す。ザックス=ホルンボステル分類でいう「気鳴楽器」だ。管楽器は、さらに金管楽器と木管楽器に分かれる。

金管楽器(きんかんがっき)
唇の振動によって発声させる管楽器群の総称。 管の長さを変えて音程を変化させるようになっている。管の長さを変えるといえばトロンボーンを思い浮かべるだろうがトランペットもチューバもピストンによって管を切り替えて長さを変えている。
トランペット | チューバ | フレンチホルン | トロンボーン

木管楽器(もっかんがっき)
もともと木でできていたものもあるだろうが、何も木でできている楽器が木管ではない。管に穴がありていて開けたり閉めたりして音を調節する管楽器と覚えておく。
フルート | サクソフォン | 尺八


便宜上あれやこれやの分類
演奏のしかたや、発音の構造からみて人が理解しやすい表現としてあれやこれやの分類がある。

鍵盤楽器 鍵盤楽器(けんばんがっき)
いわゆるキーボードだが、パソコンのキーボードではない。白鍵・黒鍵のキーボード。
鍵盤が付いてりゃ、弦(ピアノ)であろうと、リード(リードオルガン)であろうと、電鳴(電子オルガン)であろうと鍵盤楽器だ。
ピアノ | ハープシコード | チェレスタ

リード楽器 リード楽器(リードがっき)
葦を薄く削ったもの(リード)を震わせて音を出す。
シングルリードダブルリード があり、シングルリードで代表的な楽器はクラリネット、ダブルリードではオーボエなど。
クラリネット | オーボエ

また、ハーモニカ/アコーディオン/リードオルガンなどのように、気流によって音程の調整された個々の薄片(リード)が振動するものをフリーリードという。
フリーリードの楽器

リードオルガンには金属のリードが使われているので鍵盤楽器であるがリード楽器でもある。さらにザックス=ホルンボステル分類では「気鳴楽器」となるのかな。なんかややこしい。

弦をはじく 撥弦楽器(はつげんがっき)
弦楽器の中でも弦をはじいて音を出すもの。
代表的撥弦楽器といえばギター。弦楽器の中でもはじいて音をだす楽器は種類が多い。
さらには、ギターのようにネック(棹)のあるものをリュート属、カーヌーンのように箱型のものをツィター属という分類もされる。
ギター | マンドリン | シタール | ウード | バラライカ

弦をこする 擦弦楽器(さつげんがっき)
弦楽器の中でも弦をこすって音を出すもの。
馬のシッポの毛を束にした「弓」で弦をこすって音を出す楽器といえばバイオリンやチェロ。
この方法で演奏する楽器は、モンゴルの馬頭琴(モリンホール)、中国の二胡(にこ)、インドのサーランギなど、世界各地に存在する。
弓奏楽器(きゅうそうがっき)ともいう。
バイオリン | 二胡 | モリンホール | ニッケルハルパ | ビオラ・ダ・ガンバ

弦を叩く 打弦楽器(だげんがっき)
弦楽器の中でも弦をたたいて音を出すもの。
木などでできた共鳴箱に複数の弦を張り、スティックでたたいてメロディを奏でる。 中東のサントゥール、ヨーロッパのツィンバロンなど。
日本の箏(こと)も、菜箸なんかでたたくと打弦楽器になるのだがね。
サントゥール | ツィンバロン

擬音楽器 擬音楽器(ぎおんがっき)
音を真似る 声を真似る。

中国やインドでは・・・


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