グランド・ハープ は、高さが180cmほどで46〜47本の弦を持つ大きなハープ。
オーケストラでも使われており、ハープの仲間では最も発展した楽器。
コンサート・ハープ とも。
7つのペダル
ハープは構造上、ひとつの弦はひとつの音高しか出せない。だから、特別な仕掛けがなかったら音の数だけ弦が必要となる。
半音ごとに弦を配置すると、弦だらけになるし演奏者は弦を選ぶのが困難になる。ドレミファソラシ・・・ と、例えばハ長音階だけの弦にすると ♯・♭ がないので他の調(キー)で演奏困難になる。
どうすればいいの、と 先代の人々はいろいろと考えた。
その一つとして、弦を張ってある根本あたりに弦の長さや張りの強さを変えることができる装置を付けた(構造上の名称として レバー・ハープ)。
ただし、これはレバーを手で切り替える必要があるので、演奏自体が散漫になるだろうし、効率的ではない。
そこで、一歩進んで足のペダルを採用(構造上の名称として ペダル・ハープ)。
ペダル式のハープを発展させ、現在のグランド・ハープには7つのペダルがあり、ド レ ミ ファ ソ ラ シ の7音に個別対応して半音や全音を演奏中にも変化させることができるようになっている。
7つペダルで半音全音を変化させることができるハープを開発したのはフランスのメーカーで、機構上の名称として
ダブル・アクション・ペダル・ハープ
という表現がある。
ちなみに、縦に立っている円筒の支柱はまっすぐ。弦を取り付けている上部の梁(ネック)はハーモニックカーブとかいう名前で呼ばれるようになめらかな曲線でデザインされているのに支柱だけは直線的。
他の小型のハープは、支柱がいろいろな形をしていてカーブをえがいているものが多いのにね。
なぜだろう ・・・ ペダル式のハープは、足でレバーを切り替えるので、弦の音を切り替える機構部分まで、その動作を伝達する必要がある。支柱には(内部を見たことはないのだけれど)切り替え動作を伝達する機械的構造がその中を通ってる。
だから支柱は直線的デザイン・・・と、私なりの解釈。まあ間違ってはいないだろうと思うのですが。
・・・ 自転車のブレーキワイヤーみたいなのを採用すれば曲線的デザインも可能なんだろうけどな ・・・。
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a 開放 |
b 上のディスク 回転 |
c 上下のディスク 回転 |
ディスク
足のペダルと連動して、弦をグニョっと曲げて音を変える部分がディスクだ。2本のピンが弦を押さえ付ける。
これは、梁の部分(ネックという)にあって、それぞれの弦に備わっている。
a :
開放弦の時は何もしない。弦長はそのまま。半音低い(♭)。
b :
上のディスクが回転して 弦を張り詰めて、ちょこっと短くする(ナチュラル)。
c :
上のディスクと、さらに下のディスクも同じ動作をする。半音高い(♯)。
色つきの弦
「ドの弦は どの弦?」「ドは ドーナッツの ド だろ!」「え? わかんない レモンの レ もわかんない」
こんなことがないように目で見て判るようにドの音(C の音)は赤い色の弦。
さらに、ファの音(F の音)は青い色(または黒)の弦を張ってある。
そりゃそうだろう、いくらハープの名手でも、47本もの弦が同じ間隔でずらっと並んでいたら、ズバリの音を命中するのは簡単ではなかろう。そんなわけで目印の色付き弦が張られているというわけ。