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モリンホール
(馬頭琴)
Morin khuur
(ばとうきん)
モリンホールは、モンゴルの弦楽器。
ヘッドに馬の彫刻が施されており、中国では「馬頭琴」と表記される。「マー・トゥ・チン」みたいな発音になるのかな。それが、そのままの漢字で日本にやってきたので日本では「ばとうきん」の名称のほうが一般的。
弓奏楽器全般の弓の毛は馬のシッポであって、モリンホールも例外ではなく馬のシッポ。
とはいえ、馬のシッポに変わりはないにしても最近ではバイオリン(もしくはチェロ)の弓を使っているようだ。バイオリンの弓は大量生産されていて入手しやすく、逆反りの形状は弦楽器との相性がすこぶる良い。
アジアの伝統的な民族楽器全般でバイオリンの弓が採用されているようだ。
本来のオリジナルの弓がなくなっていくのは少々残念ではあるけれども、合理的な側面からすればいたし方ないところか。
特徴的なのは弦・・・モリンホールは弦も馬のシッポだということ。2本の弦は馬のシッポの毛を束ねてある。
モリンホールは、ヘッドも 弦も 弓も 馬である。
モンゴルの民話「スーホの白い馬」
この楽器にまつわる「スーホの白い馬」という有名な物語がある。
心優しきスーホという名の少年の愛馬が、わがままで傲慢な王様に殺されてしまい、スーホはその亡骸(なきがら)でこの楽器を作ったという話。
このページにその物語を記載することもできるけども、詳細は「スーホの白い馬」で検索してくださいませ。
ちなみに、スーホというのはホース(馬)を逆さ読みにしたのではなく、たまたまホースの逆さ読みみたいになったのね。カナという文字を使う日本語ならではの語呂合わせといったところかな。
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イフホール
(大馬頭琴)
Ikh khuur
イフホールは、モリンホールの低音版。
ヘッドに馬の彫刻をかざしたり、四角いボディなど、モリンホールのデザインを踏襲している。
音域の機能としては、西洋のコントラバスを意識した楽器ではあるが 弦は4本ではなく2本。
左手で弦の有効長を変える方法も、弦を指板に押さえ込むのではなく指先で触れる方法を取る(*)。楽器のデザインも演奏方法もモンゴルを代表するモリンホールを継承しているわけだ。
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コントラバスと同様に、指板に押さえ込む演奏法を取り入れることもある。
また、弓ではなくピッチカート(指で弦をはじく)の奏法を取り入れたりもしている。
よく見ると、本体とネックの角度は、コントラバスを真似た作りで斜めに取り付けられている。そのため、ブリッジの背も高くなっている。
私家版 楽器事典
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楽器図鑑 gakki jiten
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