楽器一覧 吹く楽器
トロンボーン Trombone
トロンボーン trombone
トロンボーンの特徴は、U字形のスライド管。これで管の長さを変化させ音程を得る。 正確な長さと音程は難しい操作ではあるけれども、これを習得すれば他のラッパにはない独特のニュアンスを出すことができる。 アナログ的で微妙な音程も出るし、グリッサンド(ある音から違う高さの音へ滑らかに変化させる)も得意である。上のイラストはテナー・トロンボーン

現在では見かけることはあまりないが、バルブが発明されたころには、バルブを装着したトロンボーンも作られてずいぶんと人気もあったようだ。 が、やはりトロンボーンはトロンボーンでスライド管が命。現在ではトロンボーンといえばスライド管ということで定着している。


テナーバス・トロンボーン tenorbass trombone
テナーバス・トロンボーン tenorbass trombone
F管アタッチメント付テナートロンボーン。F管アタッチメントは、B♭管のテナートロンボーンにバルブを追加して管を長くできるようになっている。これによって4度下の低音域が出せるようになる。 また、腕を思いっきり伸ばさなくても演奏できるという便利さもある。特別な装置ではなく、トロンボーンではごく一般に取り入れられている仕組み。
ソプラノ・トロンボーン soprano trombone
ソプラノ・トロンボーンは、テナー・トロンボーンよりも1オクターブ高いB♭管の楽器。トランペットと同じ音域である。
スライド・トランペットというのがあって、見た目は同じといっていい。ただ、ソプラノ・トロンボーンは、トロンボーンのファミリーであるがゆえにマウスピースが大きく、スライドトランペットに比べて太く暖かい音が出るようにしてある。
ソプラノ・トロンボーン soprano trombone
ソプラノ・トロンボーンはあまり使われない楽器であるが、さらに1オクターブ高いピッコロ・トロンボーンというのもある。オモチャという感じがしないでもない。 トロンボーンというのは元来「大きなラッパ」という意味なのに、ピッコロという「小さな」という形容詞が付くことになる。大きいのか小さいのかどっちやねん。

バルブ・トロンボーン valve trombone
バルブ・トロンボーン valve trombone
スライド管(U字管)がなく、ピストン・バルブで操作するトロンボーン。
アドルフ・サックスの バルブ・トロンボーン

アドルフ・サックスがこの楽器を作ったのは1850年ごろ。 長さの違う7本の管と7個のベル。トロンボーンのスライド管の長さの各ポジションを、その数だけ楽器内に組み込んでしまった。

スライド式のU字管を持つ通常のトロンボーンは7箇所の長さをもってあらゆる音程を出す。このバルブトロンボーンはバルブが6つ。 一つ一つのバルブが6箇所の「勘所」に対応していて、複数のバルブをいっしょに押さえることははい。バルブは6個だけど、どれも押さえないのを含めると7種類のアクションになる。 よって「トロンボーンは7箇所の長さをもってあらゆる音程を出す」に対応しているというわけだ。

それにしても異様なカタチである。 夜になるとグニョグニョと動き出して血を吸うのではないかというような得体の知れない軟体動物を連想させるでデザイン。 ひょっとしたら日本海溝の深海にこんな生物が棲んでいるかも。

アドルフ・サックスのバルブ・トロンボーン Adolphe Sax trombone

トロンブーン tromboon
ちょっと変わった楽器に変身。
金管楽器ではなくダブルリードの木管楽器にしちゃった。
トロンブーン tromboon
トロンボーンではなくトロンブーン。カップ型のマウスピースの代わりにバスーンのリードを取り付けてある。 trombone と bassoon で、tromboon だ。
ちょっと無理やり合体させているので、ビリビリ音がするし裏返った音も混じってくる。管の太さや大きすぎるベルの形状なんかがダブルリードのリード木管楽器としてそぐわないんだろうな。



スライド・トランペット | サック・バット

私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
gakki jiten