楽器一覧
クイーカ Cuica

クイーカ cuica
サンバで使うブラジルの楽器だけれども、もともとはアフリカの楽器のようだ。

太鼓(ドラム)の形をしているが、その構造や演奏方法は太鼓ではない。でも、フリクション・ドラム(friction drum)擦奏太鼓という総称があり、まあ太鼓の仲間として許してもらおう。
皮の真ん中あたりに棒を立ててあり、この棒をこすりこすりすると、その振動が皮を震わせて音がでる。
いい音か嫌な音かは人それぞれ。テンションが高ぶっている時はいいが、どんよりと暗い気分の時に、この音を聴くと逃げ出したくなる。
南米にはクイーカというオポッサム の仲間がいて、その鳴き声がこのドラムの名前の由来だという。

クイーカ cuica

フリクション・ドラム friction drum アフリカのフリクションドラム

ボディの枠はヒョウタンや陶器製もあるが、これはアフリカの木製皮張りのフリクション・ドラム。ボディは細長いのもあったりで形状も様々。

棒ではなくて、ヒモを取り付けているものもある。
擬音楽器として猛獣の鳴き声が出るフリクション・ドラムは ライオンズ・ロア と呼ばれている。



平等院 雲中供養菩薩像の摺鼓
摺鼓(すりすずみ)とか揩鼓(かいこ):国宝「雲中供養菩薩像」
平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像。雲の上で「擦る太鼓」を鳴らしている菩薩像がある。中国がら伝来したもので、摺鼓(すりつづみ)とか揩鼓(かいこ)とよばれている。
棒とか紐とかは付いておらず、皮面を指で擦って音を出していたようだ。

信西古楽図の摺鼓
摺鼓、揩鼓:信西古楽図
信西古楽図(しんぜいこがくず)は、平安時代の巻物。楽曲パフォーマンスの姿が描かれている。


オポッサムの鳴き声
ヨツメ オポッサム Philander opossum
お腹に袋がある有袋類のほとんどはオーストラリアに生息しているが、南米にも有袋類はいる。オポッサムは ペルー、ボリビア、ブラジルなどに棲んでいる。 そんな中で ヨツメオポッサム は目の上に白い斑点があるため 四つ目のオポッサム (four-eyed opossum)という名前で呼ばれるようになった。

さて、なんで ここに オポッサム が登場したかというと、この動物は ポルトガル語でクイーカ Cuíca というんだ。
ラテン音楽で使われているフリクションドラムは、ヨツメオポッサムの鳴き声からきているのだという。 おお、なんて強烈な鳴き声。

私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
gakki jiten