私家版楽器事典
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悪魔のバイオリン
Devil's fiddle (Diabelskie skrzypce)

悪魔のバイオリン/デビル フィドル
 悪魔のバイオリンは、ポーランドの楽器。
バイオリンとかフィドルとかの名前が付いているが、弦楽器ではなく打楽器。 この楽器は ポーランド北部のカシューブ(Kashubia/Kaszuby)地方で悪魔祓いの儀式に使われていた。
 棒の先端に三角帽をかぶった悪魔の頭を取り付けてあり、案山子(かかし)のようでもある。悪魔といっても、なんかお茶目で愛嬌のある顔をしている。 帽子には金属のジャラジャラがぶら下げてあり、頭部分から弦が数本張られている。この弦は、弦楽器の様にはじいて音を出すのではなくスティックで叩く。 木箱または金属箱も取り付けられており、このあたりもやっぱりスティックで叩く。 楽器全体を持ち上げて、床にぶつけてドスンという音を出すこともできる。
 悪魔祓いの儀式に使われたのが起源とはいえ、今日では、フォークバンドの打楽器として愛用されている。


このような打楽器は世界中にある。
トルコでは軍楽隊の威厳あるシンボル(ターキッシュ・クレセント)として、また仏教の錫杖(しゃくじょう)もこの仲間と考えてもいいかもしれない。 そんなこんなで堅苦しいことは抜きにして単純にジャグバンドの「オモシロ打楽器」であったりもする。
地面や床などに落下させ叩きつける楽器はスタンパー(stamper)といわれ、音楽学者のクルト・ザックスはつぎのように分類した。

1. スタンピング・スティック(stamping stick)
 杵(きね)を落とす。
スタンプ フィドル | しゅく(柷)

2. スタンピング・ゴード(stamping gourd)
 瓜類を落とす。
ハワイのイプヘケ

3. スタンピング・チューブ(stamping tube)
 竹筒などを落とす。
ソロモン諸島の スタンピングチューブ

4. スタンピング・モーター(stamping morter)
 巨大な筒・木塊を落とす。
インドネシア・カリマンタンのクルンクルン

本 世界楽器大事典(雄山閣)を参考にしています


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