その昔、音好きの人々は音が鳴る道具を作りたくってしょうがなかったのだ。
最初はたたいて音が出るだけでよかったのかもしれない。石をたたく、堅い木をたたく。
そして、筒に獣の皮を強く張るとポンポンとよく鳴り響くことを発見する。
骨や角ではラッパや笛を作った。さらに、音の高さに変化をつけるようにしたいというわけで穴を開けたり長さを変えたりした。
また、羊の腸や蚕(かいこ)の糸から弦を作って原始的な弦楽器を作った。
空洞の箱に弦を張ると音を大きくしよく響くことが分かった。弦は太さ・長さ・張りの強さで音程が調節できることを知り、高い音と低い音が同時に鳴るときの調和(和音)の心地よさも体験した。
こうして人々は「音が鳴る道具」から音楽という快楽を手に入れることとなったのだ。
科学が発達した現在、性能のよい合成樹脂ができて皮も弦も強くていい音がでる素材に変わってきた。でもやっぱりバイオリンの弓は馬のシッポだし、三味線はイヌかネコの皮だ。
動物愛顧?・・何言ってるの。毛のついたままのコート、壁にかけてある鹿の首だけの飾り物、日々食卓に並ぶ牛肉・豚肉・鶏肉。可愛そうだと思って毛皮を着るか、肉を食うか。そうだろ。