歴史/形/奏法/構造
オーケストラ(管弦楽)は、現在の音楽生活のうえで不可欠な存在である。このことは、音楽愛好家やコンサートに通う人々にとっては自明のことと受け取られている。
特に最近普及しつつあるレコードを通じて、オーケストラはますます重要性を増している。しかし、現在のオーケストラの背後に何があるかは、必ずしも充分に知られていない。
オーケストラはどのようにして形づくられてきたのか。何世紀にも渡ってどのように発展してきたのか。なぜ今ある形に進化してきたか。さらに大切な事は、楽器そのものが何であるか。
楽器が発達するうえで、何が重要であったのか。
そういった疑問に答えるために、本書はひとつひとつの楽器を取りあげて、オーケストラの中での役割や重要性について解説する。
まず、最初に現代オーケストラについて手短に解説し、その発展と歴史をふりかえることにしよう。
(はじめに より)
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音楽がたのしくなる/歴史から音の出るしくみまで
みなさんの家にはどんな楽器がありますか? 鍵盤ハーモニカ、リコーダー、ピアノ、もしかしたらお父さんがギターをもっているかもわかりません。
さらに、学校に行くと、グランドピアノやアコーディオン、大太鼓、木琴、タンバリンなど、楽器の種類がどんどん増えていきます。
でも、楽器は、それだけではありません。大きな楽器店には、もっとたくさんの楽器が並んでいます。
さらに、静岡県浜松市にある浜松市楽器博物館に行くと、オーケストラなどでおなじみの楽器のほかに、世界中の珍しい楽器が、ところせましと展示してあります。
この本は、そんな博物館の楽器を紹介しながら、楽器の歴史や種類をわかりやすく解説したものです。楽器の種類は「たたく」「ふく」「はじく」など、音の鳴らし方別に分けてあります。
(まえがき より)
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ビジュアルで楽しむ美しい音色の世界
音楽を語るうえで不可欠ともいえる「オーケストラ」は、弦楽器、管楽器、打楽器で編成されている。その始まりをどこにするかは諸説あるが、1770年代に現在に近い形になったと考えれれる。
日本語で「管弦楽団」と訳されている「オーケストラ」の語源はギリシャ語にオルケストラ(Orchestra)で、最初はギリシャの古代劇場演劇場にあるメインステージの前にしつらえた、歌と踊りをする半円形の場所だった。
一方、ローマの劇場でもこの場所は同じようにオルケストラと呼ばれていたが、こちらでは使用目的が異なり、偉い元老院議員たちのための予約席として用いられていたと言われている。
後の7世紀初め頃から、この「オーケストラ」という言葉はステージそのものを指すようになり、今私達が使っている「オーケストラ」の意味になるまでには、それから約1,100年後の18世紀初めまでかかっている。
(序章 より)
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