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 西洋の音楽様式

  角笛が金管楽器に
  低音の金管楽器
  ダブルリードの管楽器
  弦を擦ったのは だれ

  バルバット 東へ西へ
  サントゥール 東へ西へ
  ナッカーラ 東へ西へ

  ブラギーニャ
  弓形ハープ
  バー・ツィター
  バンブー・ツィター

世界のドラム トルコの楽器

ナッカーラ ・・・ 東へ西へ
ヨーロッパのティンパニ アラビアのナッカーラ 新疆ウイグルのナグラ インドのナガラ

ナッカーラ | ティンパニ | ナグラ | ナガラ


古くオスマン帝国・トルコの軍楽をメフテルといって、その軍楽隊がメへテルハーネ。
軍楽隊は、軍隊の士気をあげることや、敵への威厳・威嚇が目的ではあるのだけれど、現在では「本物」ではなく当時の楽隊を復活させ、観光っぽい部分もあるようだ。 それはそれである意味いいことかもしれない。
メへテルハーネで使っている楽器は、金管楽器のボル、木管楽器のズルナ、金属パーカッションのズィル、大太鼓のダウル、そして2台セット太鼓のキョスとナッカーラ。
メヘテルハーネのナッカーラとズルナ
馬上で叩いている メヘテルハーネのナッカーラ (吹いているのは木管楽器の ズルナ*

メヘテルハーネのキョス kös
ラクダの背中で叩いている メヘテルハーネのキョス *

いろいろある楽器の中で、太鼓のナッカーラ。
1200年代にはナッカーラとかナケールとかネイカーとか名の太鼓がヨーロッパに現れる。 ナッカーラがヨーロッパに伝わったというわけだ。トルコのメヘテルハーネでは2台セットの太鼓は、ナッカーラの他にキョスがある。 この2種類がヨーロッパに伝わり、名前はナッカーラ(またはその方言)と名乗ったのかもしれない。 いずれにしてもトルコの軍楽隊で使われていた太鼓が、後にティンパニとなるべくヨーロッパに普及していったのだった。

この「トルコのナッカーラ」と「ヨーロッパのティンパニ」の関係は、書籍あれこれでずいぶんと語られているけれど、西だけではなく東へも伝わっているのですよ。中国新疆ウイグルにはナグラ、インドにはナガラがあり、 いずれもスティック(マレット)で打ち、基本的に大小2台1組。基本的にというのは、ナグラは2台以上、ナガラは1台だけでも演奏することがあるので。


* メヘテルハーネのイラストは、18世紀に描かれた細密画をグラフィックソフトで再スケッチしたもの
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