楽器一覧(弦鳴楽器)
大正琴 たいしょうごと
大正琴 たいしょうごと
ご存知 大正琴である。
楽器というのは、古来より受け継がれてきて、だれが作ったのか分からないものがほとんどだけれども、中には製作者個人がちゃんと判る楽器もある。大正琴は森田吾郎(本名:川口仁三郎)という人が作って商品化した楽器。名古屋ハープという別名もある。 3本〜4本の同音に調律された弦(ユニゾンまたはオクターブ)を一気にはじいて鳴らすため独特の音がする。新しく作られている楽器ではソプラノ、テナー、ベースなどの音域をもつものがあり、アンサンブルとしての演奏も行われている。
海外でも評価され人気があるようだ。インドではちょっと形を変えて「インドの楽器」として普及していたりする。
大正琴を演奏している女性

大正元年(1912年)に市販されたという大正琴は、日本での普及にとどまらず外国でも使われている。さらには、大正琴の影響を受けた楽器も生まれてたりして。
ブルブルタラング
インドのブルブルタラング(インデアンバンジョーとも)。押さえるキーをピアノ風にしてあるが、日本の大正琴のインド版である。
インドのブルブル・タラング
アコルドリア
ドイツのアコルドリア。 英語版 Wikipedia には「アコルドリアは日本の大正琴と似ている」との表記がある。 大正琴と違うのは「メロディ弦のセット」と「和音弦のセット」が組み込まれているところ。
ドイツのアコルドリア

弦長を変える方法としてキー(鍵盤)で押さえる構造は13世紀ごろにはヨーロッパの民衆楽器として すでに存在していた。
大正琴は、パチパチと紙に文字を打ち付けていく 機械式タイプライター のキーを参考に考案したとあるが、森田吾郎は、これらヨーロッパの鍵盤式弦楽器を知っていたのだろうか。 大正琴には共鳴弦が付いている。共鳴させる専用の弦というのはインドやヨーロッパでは古くから多用されていたが、日本ではその発想は無かった。 キーを使って音程を変える ・・・ そして共鳴弦。これらは、下記のヨーロッパの楽器を参考にして取り入れたのではなかろうか。
ニッケル・ハルパ
ニッケル・ハルパはスウェーデンで使われている伝統的な楽器。弓でこすって演奏する。
ニッケルハルパ
ハーディガーディ
ハーディガーディはヨーロッパで広く使われていた古楽器。円盤を回して弦をこする。
ハーディガーディ
ニッケルハルパやハーディガーディは、弦をはじくのではなく、擦って演奏する楽器。ヨーロッパの古い弦楽器はメロディ弦の他に共鳴用の弦やドローン弦が張られているものが多い。

左右対称の「対称琴 ・・・ これはちょっとしたジョーク

私家版 楽器事典 / 楽器図鑑
gakki jiten