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100円ショップのリコーダー



近くのスーパーマーケットの中に100円ショップが開店。ぶらっと自転車で覗きに行った。その時、買ったのがこれ。ソプラノ スケルトン リコーダー。スケルトンという言葉の使い方が「透ける」と混同しているようで、ちょっとオカシイがまあいいか。

100円のリコーダー
「リコーダー いっぱいあるのに また買ったの?」と家内。百均で買ったことを告げると「安!!」とか言いながら、ピロピロ〜と吹き出した。 ちゃんとした音が出る立派なリコーダである。一番低い「ドの音」がちょっと変なのは家内が右手子指で指孔をしっかりと塞いでいなかったため。

どうして 100円という低価格で販売可能なんだろうとか思いながら「百均リコーダー」をWebで検索してみるとこんな記事があった。
吹いてみると良く分かるのですが、私が子どもの頃小学校で使っていたリコーダーと音が全く違います。 完全におもちゃです。
そうかなあ。 私にはその音質のよし悪しがよくわからない。
黒檀や楓などを使った木製の高級なリコーダー、 学校で使っている ABS というちょっぴり高級で強度のあるプラスチックのリコーダー、 おそらくスチロール樹脂でできているであろう この透明リコーダー。
音の違いは演奏する人の技量によって変わるだろうけど、素材によって音質の違いはないだろう。むしろ木製のほうが環境によって音質や音程が変わりやすくて扱いづらいのじゃないのかな。 たしかにプラスチック成形は素材の管理や、成形時の温度管理、金型に流し込む圧力などで出来上がりが変わってくる。「ヒケ」とか呼ばれている整形後の変形もある。 おもちゃとしての量産であれば出荷時に一つづつ音程チェックはしないだろうから、ほんの少しは変形もあるかもしれないので音程は完璧ではないかもしれない。 でも考えても見よ、音程も音質の演奏者の技量の影響が大きいだろう。どんなに高級品であろうが演奏者がヘタッチだったら音程は不安定になる。私のバカ耳で聴いたかぎりでは、音程が狂っているという感じはなかった。
音質の良し悪しだって違いが分からない。100円リコーダーを「音が全く違う 完全におもちゃ」と言っている方は、とても高度な感性をお持ちなのだろう。

ちなみに、 学校で使っている ABS のリコーダーは2000円ほどで、楽器としての製品なので生産ロットごとに品質チェックをしているであろうし、有名楽器メーカーのブランドで販売していたりするものだから20倍も高い。 木製のハンドメイドのリコーダーなんぞは安くても数千円で、一つづつ職人さんが削りだして作っているものは数万円てな値段。

100円リコーダーにはジャーマン式の運指表と取り扱い説明書がついていた
運指表 ジャーマン式
取扱説明書
メーカーは、大阪の日本パール加工。MADE IN CHINA となっているのは 日本メーカーが中国に外注委託しているということだろう。

取り扱いについて の項目に「楽器をふりまわすと まわりの人にケガをさせる危険があります。絶対にやめましょう」との記載がある。
私が中学生の時、ツバ抜きをする場合は思いっきり楽器を振り回すのが当たり前の動作。ケガをさせることはなかったけど、頭の吹き口の部分が抜けてすっ飛んでいって壊れたことはあった。
(2015年2月)

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